Reconstruction of a Family

灼熱の太陽が肌を突き刺す中、現地の住民が「ヴィレッジ」と呼ぶ東ケープ州カルーの小さな町ニーウ=ベセスタの砂利道を私は数週間に渡り歩き続けました。
ショーン・グラフは、ケープタウンとニーウ＝ベセスタの間に住む若いアメリカ人女性で、ヘレン・マーティンズとクース・マルガスによって創られたオウル・ハウスと呼ばれる建物と、セメントで出来た彫刻の修復と保護に取り組んでいました。
グラフは私たちに多くの村人たちを紹介してくれました。例えば、裏庭で蜜蝋から化粧品を作る養蜂家、馬のしっぽを使ってバイオリンの弦を作る職人などです。私たちは、農家が入札を行う、羊のオークションにも出かけました。そこで、アソル・フガードの演劇を英語からアフリカーンス語に翻訳をしている“タニ―”（おばちゃん）に出会いました。
シルエットで模られたキャラクター。それらが演じるミニチュアの劇場セット。アソル・フガードの演劇「The Road to Mecca」と、ローレン・ビュークスの著書「マヴェリック」のとある章を参照しながら、私はこのジオラマである物語を上演します。

「Reconstruction of a Family」は、記憶と幻想の組み合わせにより、同一人物でさえも、異なる方法で語る対立した物語と正面から向き合った作品です。それは、地域の人々の記録として証明するものではなく、紅茶や自家製ジンジャエール、地元で醸造されたローカルビールなどを飲みながら共有される地域の人々の極めて個人的な物語です。

それは、過去のある時に耳を傾けさせる貴重な物語でありつつ、同時にコミュニティの理想が語られる空間であり、幻想を許容する媒体でもあります。架空の物語は、オーラルヒストリーに依存しています。系図学者のキンバリー・パウエル氏は、次のように述べています。「オーラルヒストリーは生きている人々によって過去について語られる物語です。一般的に、これらは語り手自身、またはその周りの人々に関する物語です。多くの場合、オーラルヒストリーには、語り手の頭の中にしか存在しない物語や詳細が含まれています。」この物語は、アソル・フガードの演劇「Train Driver」の影響を受けています。

 

写真家について

Lebohang Kganye
ヨハネスブルグ在住のアーティスト。2009年にヨハネスブルグで開催されたMarket Photo Workshopで写真と出合い、2011年にアドバンスト・フォトグラフィー・プログラムを修了。ヨハネスブルグ大学で美術を学び、現在ヴィットウォータースランド大学にて美術修士課程。
南アフリカのコンテンポラリー作家として、主に写真を扱いつつも、彫刻やパフォーマンスを交えた作品を制作している。過去の受賞歴として、2012年にTierney Fellowship Awardを受賞。個展「Ke Lefa Laka」を開催。2014年にはスコットランドで開催された（ネルソン）マンデラの日に「Pied Piper’s Voyage」というタイトルのアニメーションを制作、発表。また、2015年にはBamako Encounters Biennale of African Photographyで審査員賞を受賞。2016年にはバーゼルにてCAP賞を受賞している。彼女の作品は2018年にSasol New Signatures Competitionにて最優秀賞を受賞。また作品はペンシルバニアのカーネギー美術館、ウルムのウォルターコレクションに収蔵されている。

ウェブサイト: lebohangkganye.co.za