Don’t Think of an Elephant

イタリアでは犯罪数が減少している。2017年8月1日から2018年7月31日までの1年間は、前年の同12ヵ月と比較して9.5%減少した。それにも関わらず、4人に1人のイタリア人が夜中に一人で出歩くことを恐れ、10人に1人は、家に一人でいることを怖がっているという。
このフォトグラフィック・リサーチは、人々はなぜそこまで恐れるのか、そしてその恐怖にどう反応しているかの調査を目的としたものだ。このトピックに取り組む機会は、イタリア議会の下院にて行われる刑法第52条の変更提案に即したものだ。新法では、米国刑法上の原則である「城の原則」から部分的にヒントを得た「正当防衛の推定」を導入するだろう。その目的は、「個人の私有地において起こった他者の殺傷については、自衛に基づく行動である」という反論を許さない推定に基づき、罪に問われないものにすることだ。OPALのアナリストであるジョルジオ・ベレッタによると、この新しい法律は多くのイタリア人を武装させると言われている。もし、ある側面において武器工場の経済的な利益が政治や世論に影響を与えるとして、他方でイタリアの司法制度も -もしイタリア国民に蔓延する不安の理由を知りたいとしたら-重要な役割を持つように思える。過去2年間で人口のおよそ1/3が、イタリア司法は権利の保護を保証することができないという考えから、司法措置をとることを放棄しているからだ。私的な正義と自衛への焦点は、イタリア人のフラストレーションを表している。そして刑法第52条の変更提案はその傾向を助長している。
社会的な正義が必要とされる中、この問題は別の方法で対処することは出来るのだろうか?
もし政治的な反応が、司法が下す正義の非効率性の解決に焦点が当てられていたとしたら?
それでもイタリア人は武装することを望むだろうか?人々が司法制度に頼ることができる国は、復讐と私的正義に対する渇望が少ない国だろうか?

 

写真家について
Diambra Mariani
1982年生まれ。イタリアヴェローナ生まれ。ミラノのスタターレ大学で法学を学び、ヴェネツィアで写真とデジタルイメージングの修士号を取得。2011年よりミラノのProspekt Agencyに所属。彼女の写真はイタリア国内外で展示されている。過去の掲載誌に、The Sunday Times Magazine、Liberation、MarieClaire、Vanity Fairなど。過去の受賞歴に、2017年Streamers / Celeste Network、2016年FotoFest Porto Alegre(ファイナリスト)、2015年アンコールフォトフェスティバル(ファイナリスト)、2015年KUALA LUMPUR International Photo Award佳作など。
ウェブサイト: diambramariani.it

 

 

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