I Have Photos Therefore I Am

私の祖父は、アマチュア写真家でした。8歳のころ、私は祖父の “助手”になりました。それは、唯一私ができたこと – 三脚の足を持つこと – を意味していました。祖父は私をよく被写体にしていたのを思い出します。そして、暗室で定着液に浸された印画紙を私に見せては、「これはあなただよ」と彼は言いました。当時、当たり前に感じていたその言葉の意味は、年を取ると共に異なる意義を持ち始めました。祖父は亡くなり、時間と共に、過去の経験はおぼろげになっていきます。だから、今私が誰なのかを覚えておいて、写真を見ながら「それは私です」と述べることには意味があります。私たちの経験に関連する写真を見ると、私たちの無形かつ信頼できない思い出は、印刷されたイメージに降伏します。具体的な写真は私たちの抽象的な記憶に取って代わるものであり、私たちのアイデンティティはその一連の写真によって証明されています。
少し前に、友人はゴミ箱で見つけたフィルムのネガを私たちにくれました。スキャンをすると、それが約40年前にアマチュア写真家によって撮影された家族写真であることがわかりました。すべてに共通していた特徴は、露出不足のため、黒くつぶれていたこと。それにより、写真に写る人物を認識することは本当に難しかったです。家族は誰でも構いません。撮影者のアイデンティティの一部を形成するそれらの瞬間も、私たちのものになる可能性があります。そこで、匿名の写真を使用し、同じプリントプロセスにより全てを統一し、決して存在しなかった人のアイデンティティと思い出を生み出すことにしました。

 

写真家について
ALBARRÁN CABRERA
「Albarrán Cabrera」とはAngel Albarrán(アンヘル・アルバラン)とAnna P Cabrera(アンナ・P・カブレラ)夫妻のユニット名です。二人の共同作業の結果として写真作品を生み出します。彼らは現在スペインのバルセロナに在住。HPのカラーエンジニア、及び’『Valid Edition』の共同創立を経て、現在はスペイン、フランスなどで個展、グループ展を開催、国際的なアートフェアにも多数参加しています。日本を愛する夫妻はこれまでもたびたび来日し、各地で撮影を重ねてきました。また自らゼラチンシルバープリント、プラチナプリントを製作し、その技術は他の写真家にも評価され、影響を与えています。
ウェブサイト: www.albarrancabrera.com

 

 

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