I Never Told Anyone

女であること
私のまわりにいる女性たちは、常に真実を語ってくれるわけではない。
夜中を切り裂く悲鳴のように、彼女たちは私の夢に現れ、解放してほしいと懇願する。
目の前で服を脱いでも、その仮面を脱ぐことはなく、
紙吹雪と白いレース、オーストリッチの羽に包まれた言葉をささやく。
彼女たちは私を神秘的で、ぞっとするような場所に招き、
それは私に自分自身の幼少期を思い出させたのだった。
このシリーズは「女であること」について民族神話のプリズムを通して探索しようとするものだ。
6枚の写真が伝えるのは、社会によって追放された私の家族である女性たちの物語だ。自己実現よりも、他人の言葉の方が重要だった時代。社会的慣習によって押し消された女性たちの物語には普遍性がある。私の家族が住む、ベルギーの南にある小さな町バンシュ。そこは北ヨーロッパの民族学の拠点でもあり、この町で行なわれるカーニバルは、欧州において最も古い祭りとして知られている。過去の社会的通念によれば、女性は発言権を持たず、儀式から外され、性と神秘の対象でしかなかった。ここに2つの物語が交差する。1つは私の家族の物語、そしてもう1つは神話や言い伝えのような集団的談話。この作品の美は、フィクションを表示することで安心させる「むかしむかし」の物語。それは写真が持つ残酷なまでな精度を映画的な効果によって和らげた絵画だ。徹底的な演出ではあるものの、セレクトされた作品の意図は明確であり、記憶を呼び起こさせる決定的な力がそこにはある。

 

写真家について
ブリュッセルのIHECS、バルセロナの演劇学校Xavi Gratacos卒。パリのGobelins Schoolにて写真の知識を深める。BnF (パリ・フランス国立図書館)彫刻/写真部門ディレクターであるエロイーズ・コネサには次のように評されている。“ベネディクテ・ヴァンダレイトは、自身の作品シリーズを通して、幼少期から大人になるまでに起こり得る連続した女性の役割、例えば子供、妻、情婦、母のような、女性のアイデンティが構築される異なる段階を探索する作家です。彼女のプロジェクトはいずれも、場の演出と並外れた美学と結びついており、その極めて映画的なイメージは、作品を見た人の記憶に長くとどまります。
彼女は、例えばシリーズ「I Never Told Anyone」におけるカーニバルのように、現代社会に存在する永続的なある種の慣習に対して、疑問を投げかけます。SNSや、家族神話が彼女の作品制作において主なスターティングポイントになりますが、作家は現実の転写に限定されることなく、常にそれを昇華させ、翻訳しようと試みています。演劇的なトレーニングによって養われた彼女の作品は、例えばSNSや、バンシュのカーニバルにおけるコスチュームのような、「仮面」が持つ奇術的な力を倍増させます。そこにはキャラクターが持つ神秘性と同一平面上に、ポール・デルヴォーの絵画を思わせる静かな繋がりがあるのです”
ウェブサイト: www.benedictevdr.com

 

 

 

 

 

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