Apuan Carbonate
始まりは大理石だった。このプロジェクトでは、イタリアのトスカーナ州にあるアルプス・アプアネ山脈の環境変化を取り上げている。この山脈は、特有の地質学的・植物学的な特徴や景観特性を持ち、有名な白大理石カッラーラ・ビアンコの採掘地でもあり魅力的な場所だ。毎年、山の採石場から約500万トンもの石が切り出されているが、装飾用に利用できるのはほんのわずかに過ぎない。実は、採石された大理石の3分の2は破片で、炭酸カルシウムの製造に使われている。この原料は、独特の性質を持ち比較的安価であるため、産業で広く用いられている。そのごく一部を挙げるだけでも、漂白紙や調剤、化粧品、食品、歯磨き粉、塗料、接着剤、潜在、プラスチック、ゴム、ガラス、陶器などがある。しかし、環境への影響は日々大きくなっていて、景観には取り返しのつかない変化が起きているのだ。適切な対処法は、炭酸カルシウムを他の場所で得るか違う物質を代用することだろう。それでも我々は採掘を続け、山脈は縮小し続けている。だから、この山脈は、我々の国、ひいては世界にとって重大な環境問題の象徴なのだ。この流れを変えるためには、持続可能な行動に目を向けて長期的な方策を打ち出す必要がある。さもないと、山脈が完全に消滅することでしかこの問題は解決されないだろう。
写真家について
1965年イタリア・トスカーナ州プラート生まれ。同地在住。ハイキングや徒歩での小旅行を趣味とし、自分にとって写真制作の道のりとは徒歩での新たな旅を意味している。それは長期の滞在や回り道をしながら、じっくりと思考をめぐらせ興味を探索するプロセスだ。
デジタル・グラフィックス分野における仕事の経験から、写真やビジュアル・コミュニケーションを独学で学び、2012年より写真に本格的に取り組みはじめる。社会的・環境的な問題に焦点を当てて活動し、天然資源に重大な影響を与え、そのしるしを残すような景観や人為的な変化の研究に引きつけられている。常にカメラを持ち歩いているわけではない、それは写真作品とは何も考えずに撮れるものではないと考えているためだ。プロジェクトを念頭に、意識的なアプローチを試みることがアイデアや場所、出会いを結実させる方法に違いない。私の旅はまだ始まったばかりだ。
ウェブサイト: www.andreafoligni.it