ABKHAZIA(アブハジア)
アブハズの人々が訪問者に話したがる古い伝説がある。それは「神がそれぞれの国に太陽の下で土地を与えたとき、アブハズは彼のゲストを世話することに忙しく、遅れてやってきた。その結果、彼のために残された土地はなかった。だが、神はアブハズの偉大なもてなしを思い出し、神ご自身がお住みになられたいと思われた唯一の場所 – 黒海沿岸の小さいな地域 – を彼にお与えになられたのだ」と。
残念ながら、実際の人生はこの伝説の歪んだ反映に過ぎません。
かつてロシア帝国で、後にソビエト連邦で最も愛された観光地だったアブハジアは、世界地図上において本当の意味での紛失地だ。
正式にはまだジョージアの一部であり、1992年の内戦後に分かれているが、それはロシアと他のいくつかの国だけが認める国家である。
巨大な北の隣国の外交政策における人質として、またその帝国主義的な野心のもと、アブハジアは、南オセチアのジョージア地域、モルダヴィアのトランスニストリア地域、また近年自称DNRとLNRと州であるウクライナのドネツクとルハンシクを含むロシアの人形国家のリストに入っています。
コーカサスの海と巨大な山々の間にある小さな土地の縞は、オランダの5分の1に過ぎず、国際的なメディア報道陣や国際政治によって忘れ去られています。実在的な産業、インフラ、教育的土壌がなく、元USSR市民、海外に散らばったアブハズ人による時折のノスタルジックな観光と、ロシアによる僅かな扶助料で生き残っています。
「Abkhazia(アブハジア)」の物語は、目を覚ます兆候なしに、20年以上の長い眠りについている国の肖像画です。それは、未来がなく、また未来を探そうともしていないシステムの不確実性の中で存在しようとする人々の日常生活に関するリサーチなのです。
写真家について
クセーニア・クルシューヴァ
ドイツとロシアをベースに活動するロシア人写真家。モスクワ航空研究所(国立リサーチ大学)にて広報を専攻。ロシアのPRコンペティションにおける受賞後、エージェンシーに所属し活動。
その後、ドイツに移住し写真の道を選ぶ。ハノーバー芸術科学芸術大学にてフォトジャーナリズムとドキュメンタリー写真の学士号を取得。
2012年、ドイツのフリードリヒ・エーベルト財団から奨学金を授与。2017年、同財団の国際奨学金受賞者の代表に選ばれる。
彼女の作品は、The Wall Street JournalやThe New York TimesのLens Blogなどでも掲載。
2017年、雑誌PDNが主催する「Photo Annual Prize」を学生カテゴリーで受賞。その他、Belfast Photo Festival 2017や Schömberg Photo Festival 2017でも展示をしている。
現在は、ドルムント専門大学にて、「写真研究」の修士課程を受講中。
ウェブサイト: www.kuleshova.de